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鹿児島発酵ツアー1日目

はじめまして。第9期発酵プロフェッショナルの末森光紘と申します。

私は、現在(株)発酵食品愛好会という会社で働いております。2010年設立のまだ小さい会社ですが、20年以上前から健康食品である万田酵素を取り扱っている会社です。発酵食品愛好会という名前にも関わらず、取り扱っている発酵食品といえば甘酒・味噌が数える程しかありませんでした。発酵という事に興味を持ち、調べていくうちに、発酵食品というのは凄いものじゃないのかと思い、この会社に勤めている以上発酵食品の事をもっと知っておかないといけないと感じ、もっと知りたい・学びたくなり、協会の門を叩きました。マイスターを取得後は、日本独自の発酵文化を発信していくことの大切さ・発酵食品をブームではなく、改めて生活の中に取り戻して、見直して定着させていくことの大切さというのは感じ、プロフェッショナルになりました。

協会のおかげで、たくさんのご縁を頂いております。その頂いたご縁でこれから発酵食品という文化と全国にある多くの発酵食品を生産者の想いと一緒に広めていきますので、これからもよろしくお願いいたします。

さて、今回は先日行われました協会主催の鹿児島発酵ツアーに行ってきたので、報告いたします。

1日目(3月18日)

鹿児島空港に現地集合し、バスで移動しました。

 

まず初めに向かったのは、協会の加盟店でもあります、福山黒酢株式会社です。

今回のツアーには、研究開発室長かつ協会の認定講師でもある竹下さんも同行してくださいました。バスの中で向かう前に福山黒酢の説明を竹下さんにしていただきました。ここで、さすが参加している方々が発酵マイスター&プロフェッショナルですから、質問が飛ぶこと…(汗)これからのツアーがとても楽しみとなるバス移動でした。

福山黒酢株式会社のある鹿児島県霧島市福山町は、海からの温かい風と山から霧島おろし風という冷たい風の影響で年間平均気温が18.7℃温暖な気候で、黒酢造りに最適な条件が揃った町です。町にはいるとすぐにいろんなところで壷畑の光景を見ることができ、多くの黒酢メーカーが軒を連ねていました。その中でも福山黒酢さんには最大規模の約20,000壷があります。並んでいる壷の景色は圧巻でした!

玄米黒酢「桷志田」は春と秋の年2回仕込みが行われます。アマン壷と呼ばれる壷に米麹と玄米と水を入れ、最後に水面に蓋をするように、乾燥した麹を振りながら入れます(振り麹)。今回は玄米がまだ生育出来ていなかったので、玄米なしでこの仕込み体験をさせていただきました。麹を食べたり、匂いを嗅いだり、皆さんそれぞれ楽しんでいました。出来上がるまでに壷は動かされる事はないので6ヶ月後を楽しみに壷の位置を覚えてる方もいました!

6ヶ月糖化発酵・アルコール発酵→酢酸発酵します。その間に雑菌が入ってしまうと発酵が邪魔され黒酢が出来なくなってしまいます。なので杜氏たちは大量にある壷を一壷ずつ丁寧に確認作業を行っています。6ヶ月後酢合わせされた黒酢は、さらに3年間の熟成期間を得て桷志田が出来上がります。3年物・5年物・10年物とありましたがどれも違い熟成期間が増すごとに角のとれた美味しい黒酢になっていました。

さらに福山黒酢さんはレストランも併設しているので昼食はもちろんこちらで、しかも5年物の黒酢をいっぱいかけて美味しくいただきました。

 

次に向かった先は、東(ひがし)酒造株式会社です。

東酒造さんは、七窪という焼酎を作られている創業100年以上の歴史ある酒蔵です。また、灰持酒(あくもちざけ)という地酒も作られています。鹿児島では昔から「酒ずし」に用いられていましたが、時代とともに生産者がいなくなってしまいました。その伝統ある灰持酒をベースにさらに高度な発酵技術により「黒酒」として復活させたのです。灰持酒は、通常火入れをして保存性を高める日本酒に対して、樫の間伐材を燃やしてできた灰汁を使用して保存性を高めた料理酒です。火入れをしていないため、酵素が生きているので料理の味を活かすことのできます。普通の日本酒に比べアミノ酸を多く含んでいるだけでなく、有機酸・ミネラルも含んでいるので、お酒と味醂の特性を併せ持っています。日本三大灰持酒は、鹿児島の地酒・熊本の赤酒・島根の地伝酒とありますが、火入れをしていないのは、東酒造さんの「黒酒」だけです。

初めて知った発酵食品「黒酒」でした。灰持酒は、一度途絶えてしまいましたが、その鹿児島伝統の味を東酒造さんは、もう一度立ち上げ復活させました。その土地の発酵食品が無くなるという事は、発酵文化が無くなる事。発酵文化協会として、発信していく事は、今ある文化を発信して知ってもらうだけでなく、こうした無くなってしまった文化や無くなりそうな文化を守るために発信していく事の大切さ重大さに改めて気づかされました。