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新潟県妙高市 伝統発酵食品 かんずり体験
皆様、こんにちは。
日本発酵文化協会 上席講師の藤本倫子です。
数年越しの想いが通じて、、、、やっと
新潟・妙高にて、かんずりの雪晒し(ゆきさらし)を体験させていただきに行ってきました。
今年で60年を迎えるかんずり。この土地で、雪とともに歩んできた年月です。
かんずりとは「寒造り」からきている言葉とのこと。

そもそも、なぜこの雪国に唐辛子文化が根付いたのでしょうか。
諸説あるそうですが、東條社長がお話しくださったのは、戦国武将・上杉謙信にまつわる説でした。
京から戻る際のお土産として唐辛子を持ち帰り、領内に配ったのではないかというものです。
当時、唐辛子は薬として扱われており、体を温める効果があると考えられていました。
豪雪地帯であるこの地では、その効能が重宝され、やがて食文化として定着していったのではないかと言われているそうです。
雪国の暮らしと、薬味としての唐辛子。歴史と風土が重なり、今につながっています。
唐辛子の収穫は8月から11月。収穫後すぐに洗浄し、塩漬けにします。
実際に体験して印象的だったのは、かんずり用の唐辛子の大きさです。
長さはおよそ20センチほどもあり、一般的な唐辛子よりもずっと大きいのです。
もはや、これ、唐辛子のおばけ?!とも思えるくらい大きいのです。
(私が見たのは、塩漬け後なので、実際はもっと大きいはず!)

これは自然にそうなったのではなく、長年の積み重ねてきた努力によるものとのこと!
収穫した中から特に大きく育った唐辛子の種を選び、
その種を翌年また育てる。
その繰り返しによって、少しずつ今の大きさへと育てられてきたのだそうです。
伝統発酵食品は微生物だけでなく、人の手による選択と経験、そして新しいことの挑戦を含めた歴史でもあるのだと改めて感じました。
(現在ではゲノム解析などで大きい唐辛子を作るのは科学的に可能と思われますが、これぞ、人の知識ですね!)
この塩漬け唐辛子を、真冬の雪の上へ広げる。これが雪晒し(ゆきさらし)です。

雪晒しは1月20日頃から2月末まで。
以前は3月まで行っていたそうですが、近年は黄砂などへの配慮から2月末で終了。その代わり、期間内の雪晒しの回数などを増やして対応されています。
天候にもよりますが3〜4日間、雪の上で静かに晒されます。

その後回収し(網で回収します)、

潰した唐辛子に、すり潰した高知産ゆず、米麹、塩を加え、3年間熟成させます。
仕込み量は10トンから20トン。
この雪晒し、見ていると美しい光景ですが、実際はなかなかの重労働です。
塩漬け唐辛子は想像以上に重く、それを上に巻き上げるように雪の上へ投げて広げます。
これが思っている以上に難しい(笑)。腕の力だけではなく、コツがいるのです。
さらに、塩漬けされたものなので、手がとてつもなく悴むそうです!塩ですからね、、、
小学生の体験などでは、きっちり並べ始める子もいるとか(笑
でも重ねないようにと言われると、子供の気持ちもよくわかります(笑
雪晒しを行うことで、唐辛子のえぐみや苦味、雑味が抜け、フルーティーでマイルドな味わいへと変わります。
この雪晒しは偶然の産物とおっしゃっておりました。
干していた唐辛子が雪の上に落ち、それを先代が食べてみると驚くほど美味しくなっていた。
そこから生唐辛子を使い、雪晒しを行うようになったそうです。偶然を見逃さず、続ける。
それが60年の歩みへとつながりました。
東條社長のお話しを聞きながら、試食もさせていただきました。
(生かんずりが本当に美味しい!)
お団子は、東條社長のこだわりとのことです!(美味!!)

かんずりは元々、各家庭で作られていた保存食でした。
またたびを入れる家、にんにくを入れる家、ゆずを入れる家。
本当に家庭ごとに味が違ったそうです。
当初は麹も使われていませんでした。会社化した際に麹を取り入れ、より安定した高品質なかんずりへと進化しました。
現社長のお祖父様が「この食文化を残したい」と会社化し、試行錯誤を重ねて今の味が築かれました。
白い雪の上に広がる赤い唐辛子。それは単なる調味料ではなく、歴史と風土が重なった発酵文化です。
雪国で60年。素晴らしい伝統発酵文化に出会うことができました。
たくさんのお話しを聞かせていただき、東條社長、そしてコーディネートしてくださった清水様本当に貴重な機会をありがとうございました!

この地域では、小学3年生の時に年間体験(収穫から雪晒し)をして、3年発酵熟成させた後6年生の卒業の際に
自分たちで仕込んだかんずりをプレゼントされているそうです。
伝統食文化を伝える素敵な食育ですね!
