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秋田「しょっつる」の魅力/蔵元セミナーを初開催しました!

出会いは2024年7月のことでした。
出会い? はい、今回およそ11カ月かけて講座の企画を実現した秋田市の魚醤製造会社「髙橋しょっつる屋」の4代目、高橋信一社長との出会いです。

 

申し遅れました。発酵プロフェッショナルの小宗睦美と申します。
今回、発酵プロフェッショナルの同期生、三浦千絵さんと一年近くにわたって温めてきた「みんなに知ってほしい 秋田の魚醤『しょっつる』の魅力を知る!」の講座がついに実現しましたので、高橋さんとの馴れ初めのご紹介と講座のご報告をさせていただきます。

 

<髙橋しょっつる屋さんとの馴れ初め>
事の始まりは昨年の秋田発酵の旅でした。発酵仲間3人で秋田の旅の訪問先を計画した際に、「秋田と言えばしょっつるでしょ!」と思ったのはよいものの、しょっつる屋さんに伝手などなく…。検索を続けた末に巡り合えたのが今回講師を務めて下さった「髙橋しょっつる屋」の高橋さん、見学のお願いを快く受け入れて下さいました。

 

見学当日の高橋さんのレクチャー、とにかくお話がわかりやすく面白い! あとから学校の先生をされていたと伺い、納得しました。「高橋さんのしょっつるへの情熱あふれるお話をもっとたくさんの人に聞いてもらいたい」そんな思いを日本発酵文化協会に直訴し(!)、講座を企画し、そしてようやく講座当日を迎えた次第です。

 

<「知ってもらいたい、使ってもらいたい」しょっつる愛あふれる講座はこんな流れでした>
さて、いよいよ講座のはじまり~。高橋さんのミッションは「➀しょっつるを知ってもらう」「➁しょっつるを使ってみようと思ってもらう」の2つ。

 

 

講義は〇×クイズ形式で。クイズは勝ち抜き戦で優勝者には超豪華な賞品も!

 

 

髙橋しょっつる屋の商品「浜しょっつる」(左)と「これから育てるしょっつるのもと」(真ん中のビン)という発酵マニアにはたまらない豪華賞品(私も欲しかった!)。「しょっつるのもと」は高橋さんが5月半ばに仕込んだばかりで、出来上がるまで蓋を開けずに常温で保管、筋トレを兼ねて時々シャカシャカ振れば元気に育っていく模様。
右側のビンは5年後の姿。ビンの中味はイワシと塩だけですが、年月とともにドンドン溶けていくのだそうです。

 

クイズは髙橋しょっつる屋の歴史から始まり(秋田県で一番古く明治40年創業)、しょっつるの原料や製造方法についても楽しい学びがいっぱいでした。

 

しょっつると言えば「秋田で、そして原料はハタハタ」と多くの人はイメージしていると思うのですが、原料はハタハタだけでなく、イワシやタラ、イワナやアジなどもあるそうです。

 

 

製造工程はテレビ番組に出演時の動画を観ながら。高橋さん、有名人でした。

 

 

今回の講義で私が面白かったのは、しょっつるが造られるようになった歴史的背景。
500年近く前、織田信長の弾圧を逃れて秋田の浜田へやってきた一向宗徒が塩造りの知恵を地元に授け塩田が開発され、その後、その塩を使って豊富に獲れた魚を保存するようになったそうです。
その保存食の上澄み液が美味しかったので魚醤として使われるようになったのだとか。発酵食品って文化人類学の分野でもありますね。

 

そしてお待ちかね、参加者の方が興味津々の「しょっつるを使ったお料理」

 

 

ラーメンやスープの出汁に、唐揚げの漬けだれに、炊き込みご飯や野菜炒めにも。
しょっつるは鶏肉と相性が良いのだそうです。そして、意外なことにイタリア料理のレストランからもしょっつるの引き合いは多いとのこと。

 

試食では髙橋さんお勧めの「しょっつるアヒージョ」「コーンのしょっつる炊き込みご飯」「簡単しょっつるスープ」をご提供。オリーブオイルとにんにくにしょっつるを入れることでうまみたっぷりのアヒージョになります。

 

 

そして、最後は高橋しょっつる屋さんの商品販売の時間も。
こちらの髙橋しょっつる屋の「浜しょっつる」は4代目の髙橋さんが開発された商品で、これまでの商品より原料を3倍に増やたことで、うまみたっぷりな中にも甘みが強く感じられるものになったとのこと。最低2年以上寝かすという手間暇かかった商品です。

 

 

当日は、特別価格で提供していただいての販売ということで、お一人で何本も購入下さるかたもいらっしゃって、完売。とっても嬉しいことでした。

 

こうして講座も無事終了。ご参加の方々から質問もドンドン飛び出して、熱気あふれる講座となりました。皆さん、楽しそうに参加して下さっていたことが印象的でした。

 

<最後に>
発酵仲間の三浦さんと一緒に企画したこの講座、講師の高橋さんにはお忙しいなかご無理をお願いいたしました。
秋田からわざわざご足労いただき、お手間もお時間も取っていただき感謝しかありません。
また、私たちの企画を実現して下さった日本発酵文化協会にもお礼申し上げます。
そして、ご参加の皆さまもありがとうございました。
「楽しかった、また企画したい!」すでにそう思っている私です。