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OLだからこそできる「発酵食品」との関わり方
こんにちは。日本発酵文化協会 認定講師の小坂純子です。
今月から隔週末で発酵コラムを担当することになりました。
よろしくお願いいたします。
ご存知の方も中にはいらっしゃるかも知れませんが、
平日、私は普通のOLとして企業に勤務しています。
平日はOL、夜や週末は協会が主催する講座の講師やスタッフ、
時には営業ウーマンとして、あちらこちらを飛び回っています。
フツウのOLが、なぜ「発酵食」に携わっているのか?
きっかけは東日本大震災でした。
その当時、TVで流れる映像や聞こえてくるニュースに、
心を痛めながらも何も出来ずにいるはがゆい自分。
東北6県のうち、太平洋側と日本海側ではあまりにも違う被害や現実。
そして風評被害や東北全体で抱えてしまったダメージ。
そんな時、ふとしたきっかけで代表と食事をする機会があり、
熱く語る「発酵」への想い、これからの夢や構想、
地方都市の地域活性化への取り組み、etc…
「こんな私でも、地元秋田の力になれることが出来るかも!」
胸が熱くなり、気付いた時には、
「私も仲間に入れてください!」という言葉が自然にこぼれていました。
そこからはとにかく必死の毎日でした。
集まった周りの人たちは各分野でプロとして活躍するスペシャリスト。
人間力も高く、才能も多彩な素晴らしい方たち。
追いつくためにも睡眠時間を削り、
夜や週末のお付き合いも断り、
どんなに記憶力の低下に落ち込もうが、
とにかく凹む前に、勉強・勉強・勉強の日々。
1日平均4時間睡眠が何週間も続いても、
OLとして年齢的にも立場的にも、仕事の手は絶対に抜けない。
関西や名古屋への出張も続く。
そして日中、「数秒間の記憶が無い!(汗)」という現象が起こるようになった頃・・・
協会側の同行で参加した蔵元さんへの蔵見学。
こんなに熱い思いで、
こんなに愛情を注いで、
こんなに真剣勝負で携わっているという、
当たり前のようで衝撃的な現実を目の当たりにしました。
こんなに素晴らしい人たちが、
じつは日本全国にたくさん散らばっていて、
そしてもちろん、地元秋田には山のようにあります。
正直、頭を思いっきり、ガツーン!と殴られたような気がしました。
会社勤めをしていると、
しかもその会社が長くなればなるほど、
社長も常務も部長も課長も、
自分より上の人たちは、なんとなくみんな「すごい人」。
金融業界にいた頃は、億単位のお金を動かす人が「すごい人」だったし、
営業職に携わっていた頃は、数字を上げる人が「すごい人」、
秘書だった頃は、美しくてオシャレで周りに気遣いのできる先輩が「すごい人」でした。
でも、蔵で働く人たちはそうじゃなかったのです。
誰かが欠けてもダメだし、
誰かがほんの1秒でも気を抜いてもダメ。
いつも自然を相手に、
わけのわからない「菌」という見えない物と、
毎日、真剣勝負が何ヶ月も続く。
冷たい水の中に手を突っ込んだり、
熱い米を素手で混ぜたり、
何十キロもある米を全力疾走で運ぶ。
長い時間、気が遠くなるような作業が繰り返され、
さまざまな人の愛情×苦労×自然のすべてが上手に織りなされ、
「芸術作品」とも呼ぶべき発酵食品。
私がフツウのOLだったからこそ、
発酵食品とそれを作り出す人々の素晴らしさに気付けた瞬間でした。
そしてもうひとつ学んだことに、
何事も諦めたらそれでおしまいということ。
発酵食品でもどんなことでも、
その素晴らしさを知ったのなら、
それを探求しつつ、さらなる楽しさを感じて、
その楽しさを知る仲間と繋がり広がっていく。
そのためには諦めずにとにかく前に進んでみる、ということです。
これからもOLと発酵講師として二足のわらじを履きながら、
発酵食品の素晴らしさを楽しく分かりやすく伝えて参ります。
そして、発酵食品に興味のある皆さんと一緒に、
全国の熱意ある蔵元さんの「芸術作品」を、
秋田や日本だけに留まらず、世界中に広めていけたら嬉しく思います。