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幻の珍茶 大豊の碁石茶

日本で唯一の完全発酵茶、碁石茶のお話を聞きに行ってきました!
発酵プロフェッショナル 発酵ライター 浅川 つぐみです。
高知県大豊町には、日本唯一の完全発酵茶『碁石茶』という不思議なお茶があります。
緑茶とは、味も形も違う独特な風味を持った発酵茶です。
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お茶の分類というのは、不発酵茶の緑茶、半発酵茶の烏龍茶、発酵茶の紅茶という分類に、現在はなっていますが、実は、この分類には、微生物の関与はありません。
碁石茶は、この分類とは別の『微生物発酵茶』という位置にある、微生物の力を借りて発酵させた、日本唯一の発酵茶です。
私達、発酵協会の『発酵』というのは、微生物の生命活動が関与しているものを『発酵』としていますので、そういう面から見て、『碁石茶』は、本物の発酵茶ということになります。
『碁石茶』の生産は、四国山地の自然があふれる大豊町という町で、「スサノオノミコト」が植えたとされる日本一の大杉として名高い「杉の大杉」でも有名な町でもあります。
その歴史は、400年前の文献に残り、文献には残っていませんが、1000年以上の歴史を持ち、緑茶より昔からあるお茶とされています。
「一度は失いかけた幻のお茶」というのは、昭和から平成にかけて、生産できる農家さんが、たった1軒になってしまったからだそうで、
それを、大豊町のみなさんの努力で、ミラノ万博では5日間「日本館」で出展し、フランスの「食の祭典」に招待されるまでになったお茶だそうです。
大豊町のみなさんの努力で、日本の貴重な文化を繋げることが出来たのだと思います。
そのような『碁石茶』は、茶摘みの時枝ごと刈り取り、大釜で2~3時間蒸されます。
枝ごと刈り取るのは、蒸したときに茶葉同士の密着を防ぐためだそうです。
蒸しあがった茶葉は、葉と枝を選別し、ムロで筵を被せ、カビ付けをし発酵させ、漬け桶の中に敷き詰め重石をし、数週間乳酸発酵するという『2段階発酵』で作られるため、完全発酵茶と言われます。
乳酸発酵した茶葉は、桶から出されると3〰4cm角に裁断され、筵に並べ天日乾燥します。
その時の並べられている様が、碁石に似ていることから『碁石茶』と呼ばれているそうです。
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積み採りから60日かけて完成されるお茶だそうです。
『碁石茶』の効能は、植物性乳酸菌を多く含んでいるので、整腸作用や血液中のインフルエンザや花粉症などの予防、高脂血症や動脈硬化の抑制作用、血圧低下作用などがあります。
植物の発酵には、植物の細胞壁を破壊することが必須で、その作業をするのが、『碁石茶』の場合、微生物(カビ)になるそうで、茶葉の細胞壁が破壊され、中の栄養分を外に出したり、菌が細胞の中に入ることでカテキン類の構造改革をしたりするそうです。
また、乳酸菌の役割は、酸味を付けたり、茶葉のタンニンに強い耐性を持つ機能を付与するそうです。
植物性乳酸菌は、抗酸化作用にも優れ、癌を発症に関与する活性酸素を抑える効果も期待されるので、『碁石茶』を生産されている地域は、65歳以上が50%以上の限界集落だそうですが、長生きの秘訣は、この『碁石茶』のおかげかもしれません。
今日は、テイスティングをさせていただき、『碁石茶』の味を分析してみました!
その味は、乳酸発酵をしているので、少し酸っぱい感じはありますが、すっきりし、まろやかで旨味もある飲みやすいお茶でした。
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『碁石茶』として流通するには、審査専門委員会の審査で、既定の微生物がいるか、成分があるかなどの厳しいチェックがあり、品質が保証されているそうです。
日本唯一の完全発酵茶、この幻の珍茶を、これからも大切に守っていくことは、日本の文化を継承する意味でも、とても大切なものだと思います。
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今日、沢山のことを教えて下さった大石さん、これからも『碁石茶』を全国に広めて下さるといいなと思います。
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沢山の貴重なお話、ありがとうございました!