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第7回 発酵定例会

先週土曜日に、日本発酵文化協会の発酵マイスター・発酵プロフェッショナルの参加する『第7回発酵定例会』が開催されました。
久々に、発酵仲間に合えて、嬉しかったです。
発酵プロフェッショナル1期生 香坂 つぐみです。
横山理事長にご挨拶いただいた後、今回も、東京農業大学の柏木教授の、興味深い研究の続報を聞くことが出来ました。
柏木教授は、私たちに、とてもマニアックな発酵の世界と、最新の研究を毎回教えてくれます。
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今回も『きな粉の添加による米麹遺伝子の活性化』と題し、前回、味噌にきな粉を添加すると発酵が活性化するというお話をいただきましたが、その続きの深いところを教えて下さいました。
 
 
米麹には、沢山の酵素があり、食材を加えることによってその生産性が良くなるそうで、前回までは、きな粉を加えると味噌においては、活性が高くなるというお話でしたが、今回研究が進んでいくうちに、酵素の活性が高まるというよりも、酵素の遺伝子の活性が高まるという事がわかったそうです。
 
 
味噌の中は、麹菌の酵素により大豆のたんぱく質はアミノ酸に変わり、旨味を増していくのですが、その時に関わる酵素に、プロテアーゼという酵素があります。
たんぱく質を分解し、アミノ酸にしていくと言われていますが、プロテアーゼの分解は、ペプチドまでで、その後にペプチダーゼという酵素で、ペプチドはアミノ酸へと分解されます。ペプチダーゼは2種類あり、アミノ基の末端からアミノ酸を1個1個に切り離してく酵素がアミノペプチダーゼ、カルボキシル基の末端から分解していく酵素がカルボキシペプチダーゼという2種類のペプチダーゼが働くことがわかりました。
さらに、ペプチダーゼは、アミノ酸の種類に好き嫌いがあり、嫌いなアミノ酸になると効果が失速し、ペプチドの長さが異なるという事もわかってきたそうです。
ちょっと、人間みたいですね。
 
また、麹菌には、複数の類似遺伝子を持ち、常時活動しているのは1~2種で他は休眠しているという事もわかっています。菌株により遺伝子の発現が違い、味噌などは、きな粉を添加すると味噌特有の遺伝子の発現が強まる傾向にあるという事がわかりました。
 
きな粉で米粉遺伝子が活性化という事がわかり、味噌を仕込む時に、きな粉をちょっと入れてみようかなと思いました。
今後は、きな粉に誘導される遺伝子と酵素の関連性をさらに解明されていくそうです。
また次回、この続きのお話が効けるのかもしれません。
 
 
そして、愛知県碧南市の日東醸造の蜷川社長がご参加下さいまして、是友先生との対談で『しろたまり』のお話をして下さいました。『しろたまり』は、小麦100%の白醤油です。
私も以前『白たまりの講座』で手作りしましたが、白い色のほんのり甘いお醤油に出来上がりました。
実は、『しろたまり』は、大豆を使わないため、醤油の分類ではなく小麦醸造調味料となっていますが、古来の麦醤を復興したものです。
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お醤油というものにはJASマークがあり、JAS規格には材料に大豆を使う事や、使っていい添加物等が決められています。
これは、戦後の物資不足の時代に、代替品など粗悪な物から、安心なもの作るために作られたものでしたが、現在においては、大豆であれば輸入大豆でも遺伝子組み換えでも、国産でも脱脂大豆でも良いという見解になり、規格内の添加物は使えるという事になります。
それって、本当に安全??と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、発酵調味料をどこでも一定の品質で、安定の価格にするにはしかたないかもしれません。
ですので、『しろたまり』は小麦醸造調味料になってしまうそうで、本物のお醤油の製法なのに少し残念です。
蔵さんで作っているお醤油は、日本古来の作り方で、木桶で丸大豆をゆっくり発酵させて作り、蔵によって味の違いが楽しめ、地方特有の多様な醤油文化を堪能することが出来ます。
こういう地方の伝統を守って作っているお醤油には、JASマークの無い物も沢山あり、古来からの個性を伝承しているそうです。
『しろたまり』は、炊き込みご飯や、色の付けたくない茶碗蒸しなどにもおすすめの色のつかない調味料です。
是非、機会がありましたら、お試しください!
 
その後は、のゑ先生からの『ワインに合う発酵メニュー』の開発のご案内や、新しく発酵マイスターや発酵プロフェッショナルを取得した方の授与式も行われました。
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久々に、皆様とも楽しい時間が過ごせました。
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その後は、皆様ご自慢の発酵料理の持ち寄りパーティ!
一部ですが、素敵なお料理を、撮らせていただきました。
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次回は10月1日、また新しい発酵プロフェッショナル・マイスターの方とお会いできるのを楽しみにしています。