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千年の一滴

『千年の一滴』という映画に誘っていただき、見てきました。
発酵プロフェッショナル、発酵ライター 浅川 つぐみです。
この映画は、日本の食文化を支える『出汁』と『醤油』について、磨かれた技を持つ職人さんたちの探求についてのドキュメンタリー映画で、以前、協会のツアーで訪れた『寺田本家』さんの蔵も出演されていました。
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今日は、この映画について、ご紹介したいと思います。
この映画は、出汁とお醤油の二本立てになっており、
第1章の『出汁』については、仏教徒の日本では、殺生が禁じられているので、肉食が禁止され肉に代わる味を求めて見出したものが旨味。
そして、その旨味を作るものが『出汁』です。
『出汁』を作るための厳選された素材がどうやって作られるのか。
それは、神様からの贈り物と職人さんたちの知恵と技術。
出汁の材料の一つである北の海で採られる2年目の昆布。
2年目の昆布が、一番いい味を出してくれるそうで、それを選んで採る漁師さんの見極めと感の素晴らしこと。
そして、その昆布を浜で干し、夜露の湿り気で磯臭い昆布の匂いを消し、最高級の昆布は作られます。
南の海では、1本釣りされたカツオを素早くさばき、湯に入れて煮て骨を抜き、燻して天日干しをし、カビを付けを繰り返し、半年かけて仕上げるという鰹節。
こちらも出汁の素材の一つです。
そして森では、木を切る時は『焼畑』をし、森を燃やし、高温で菌をゼロにします。
焼かれた木には、なたで切れ目を入れ、新しい菌を入りやすくして、新たな菌を呼びます。
「畑を焼け、鉈を入れろ」というのは、自然を良く知る先人の知恵で、しばらくすると、どこからともなくきのこの菌が木に付き、胞子を伸ばして立派なキノコが生えてきます。
木の新芽は30年後、森になるそうです。
その森から採れた椎茸。
この三つが出会い、黄金の『出汁』が出来上がります。
大自然を凝縮したものが、まさに『出汁』で、神様からの贈り物に職人さんたちの手が加わり素晴らしい物になります。
第2章は、『醤油』
醤油も自然と職人達の発酵の知恵のなせる業。
和食の調味料は、1種類のカビが生み出した賜物で、アスペルギルス・オリゼがそのカビ菌です。
アスペルギルス・オリゼは、アルカリ性に強い麹菌で、
自然では、豊作の時にだけあらわれ、稲わらに付く黒いカビで、稲霊(いなだま)とも言われています。
この麹菌が、日本の発酵調味料の醤油・味噌・酒・みりんなどを作ります。
発酵は、長い年月をかけて作られるもので、その素材には、神秘的なものを感じます。
神様からの贈り物と職人技が合わさることで成立する日本の食文化。
その中で発酵というものは、とても大事な位置を示します。
この映画を見て、改めて発酵は、日本文化として絶やしてはいけない、日本人の大切な文化だと感じました。
2月中旬まで、ポレポレ東中野というところで観ることが出来ます。
http://www.mmjp.or.jp/pole2/
是非、おすすめの映画です。